出産体験談⑥ 12時~ 分娩台にて
出産体験談⑤のつづきです。
分娩室への移動は、もはや間隔が蚊ほどしかない陣痛が止んだ一瞬の隙を見計らって徒歩で入室する
部屋の感じは、完全に医療ドラマなんかによくあるオペ室みたいな感じです。
手術台が分娩台になってるだけですね。分娩台もよくあるやつです。
足首をベルトで絞められ、足を無理矢理おっぴろげて、下から見れば内臓まで丸出しになるポーズになります。。
よく、オペ場は精神を落ち着かせる為に薄い緑色の壁紙になってるとか
分娩室はピンクだとか
そういうスピリチュアル的な要素を大事にすると聞きますが
実際患者側としてはそんな余裕はない。
ていうか思いだせない。
寧ろ部屋中真っ赤とか派手な方が、妊婦の興奮を掻き立てるみたいで良さそうな気もしますが
確かに興奮しすぎてパニックになったら逆効果ですよね。
妊婦側ならともかくとして
先生とかが妙に興奮してテンション上げられても困るし
精神と時の部屋が一面真っ白なのも納得です
そもそも真っ赤だったらどこに血が飛ぶかも分からないし、掃除も大変になるでしょうけど。
そんなくだらない事を考える事3秒
陣痛の波が押し寄せる度に思考が吹っ飛ぶ
陣痛の合間にどうでもいいことを頭に巡らすというのは
おそらく人体を守る為の一種の逃避行動でしょう
決して私が逸脱しているわけではなく
むしろ自然の摂理だと思われる
軽いトリップ状態になることで
身を守っているわけで
全国の妊婦は是非参考にしてほしいものですな
そんなこんなで
アレヨアレヨと下の見えないところで準備が整えられている。
中心人物はもちろんおばちゃん。先陣切って若い人に指示を出す
「破水させるよ~仕度して~」
額に汗したおばちゃんの指示に従い素早く動く若い人たち
おばちゃん格好いい
ドーラみたい!
「40秒で支度しな」
って
言わないかな
ドキドキ。
「グズは嫌いだよ!」
ちなみに破水というのは中の人を包む薄い膜であり、強制的に破って中の羊水というクッションを抜くことで
急激に赤ちゃんの頭を入口近くまで下降させ、お産の進みを早めます。
破る行為自体には痛みは無く
おばちゃんがハサミを入れると同じに生暖かい水がバシャーっと一気に流れていくのがわかった。
すげー頑張って我慢していたのに
結局我慢できずにおもらしをしてしまった時の諦めと一瞬の気持ちよさを感じる
つかの間の安堵・・・。
そして一瞬で中の人が下の方へグッと移動していくのがわかりました
さぁここからはしっかりいきまなん(力を入れなきゃ)よぉ~
陣痛の波に乗って3回の深呼吸の後に思い切り息を止めて力を入れるように指示をうける
これは病院のシステムによるのかもしれないんですけど
力入れる時って結構回りに沢山スタッフさんが来てくれて
大勢で励ましてくれると思ってたんですね
ドラマみたいな感じで家族も常に頭元にいたりしてさ
団扇係がいたりしてさ
水を与えてくれたりとかさ
でも、それはドラマだけの話のようで
実際はおばちゃんが足元に一人、私の顔の近くで若いスタッフが一人。
それだけ。
特に大袈裟に掛け声をかけられるわけではなく
完全に自分のタイミングでいきまなきゃいけないんだなと思った。
自分の力で産まなきゃ
(どうも周りは当てにできないらしい)
と
密かに闘志を燃やす
・・・実際は私のタイミングに合わせてスタッフさんが声かけしてくれていたんですけどね
この時はこの病院のスタッフ頼りにならんと一瞬思ったのですが
後でよく考えたら、人が多いと声が聞こえないし
1番力がいる時に家族に声をかけられると…多分弱音を吐いてしまい、力が入らないと思えた。
他人の掛け声に合わせて行動する事で、もしタイミングが合わなければパニックは必至。
一見冷たそうなこの対応も、私にとってはかなり適切な分娩スタイルだったと思う。
・・・・散々引っ張りましたが、次こそ最終回にします。
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